フグと聞いてあなたはどんなことをイメージするでしょうか?
高級食材としても有名ですし、水族館など見かけることもあれば、
今はペットとして自宅で飼育する方も多いようですね。
フグは世界で約170種ほど、日本近海では約50種ほどが確認されています。
そして驚くことに、未だに新種が発見され増え続けているんだそうです。
その生態を詳しく知る人はあまり多くはなく、
それは見た目も生息地域も様々であるからだと考えられています。
さて、そんな謎多きフグですが、最大の特徴は何といっても、
あのプクッと膨らんだ風船のような形にあるのではないでしょうか。
ユーモラスな形ですが、いったいフグはどうしてあんなふうに膨らむんでしょうか?
実は、フグが膨らむのは自分を守るための防衛手段だったんです!
詳しくみていきましょう。
いったいなぜ?可愛い見た目に隠されたフグが膨らむ本当の理由とは!?
フグが膨らむ理由はズバリ、外敵から身を守るための自己防衛手段です。
フグは毒を持っているので天敵が少ないと思われがちですが、
そんなことはありません。
大型のフグは小型のフグを食べることもありますし、
稚魚のうちは色々な魚に捕食されてしまう可能性が非常に高いです。
生きものの世界では体の大きさはとても重要で、
少しでも体を大きく見せて敵に捕食されないように各自が工夫をしています。
魚介類は通常ヒレを思いっきり広げて大きく見せようとする種が多いんですが、
残念ながらフグはヒレがあまり大きくありません。
そこで彼らは体全体を膨らませて相手を威嚇し、
驚かせることで自己防衛しているんです。
さらに、魚介類は多くの場合捕食した生き物をまる飲みする性質があります。
そのため、風船のように膨らむことで、
まる飲みにされることを防いでいるのでは?
とも言われているそうですよ。
ぷっくり膨らんでいる姿は私たちからすると可愛らしく見えますが、
フグにとっては自分を守るための大切な防衛手段だったんですね。
フグが膨らむ原因は体の構造!?他の魚との違いから膨らむように!?
自分の体を膨らませて相手を威嚇する生きものはなかなかいないですよね。
膨らむと身動きがとれなくなってしまうので、
フグにとっても追い詰められた時の最後の手段であるともいえそうでう。
もう少し他の方法で身を守れなかったのかな…と思いますが、
実は体の構造上他に方法がなかったようなんです。
というのも、通常の魚は尾びれを使い、
体をくねらせるようにスイスイ泳ぐのに対して、
フグは小さな背びれと尻びれを使ってパタパタと泳ぐことしかできません。
これは体を構成する筋肉のうち体をくねらせて泳ぐ時に使う、
体側筋という筋肉が発達しておらず、逆に背びれや尻びれを動かす屈筋が、
著しく発達しているためと考えられています。
そのため、フグは他の魚のように敵に見つかっても、
すばやく泳いで逃げることができないんです。
そのため、自分自身を大きく膨らませることで相手を威嚇したり、
飲みこまれにくくしているんですね。
いったいどうやってるの!?フグがまん丸に膨らむ仕組みとは?
フグが膨らむのは身を守るため、ということは分かりましたが、
いったいどのような仕組みで膨らんでいるんでしょうか?
実はフグが膨らむ仕組みは風船とほぼ同じで、
水や空気を体内に取り込んで大きく膨らんでいるんですよ。
フグは胃に特殊な弁と、膨張嚢とよばれる袋状の器官を持っています。
空気はエラ穴から、水は口から取り入れて、
特殊な弁で袋の口をしっかりと閉じることで体の丸みをキープしています。
海外の研究では体長約20センチのフグが1リットルの海水を飲み、
体重がおよそ4倍にもなったという報告もあるそうです。
しかし、なぜそんなにたくさんの海水を飲むことができるのでしょう。
その理由は、フグには一般的な魚にある肋骨がないからなんです。
肋骨には内臓を守るという大切な役目があります。
しかし、肋骨があると体を膨らませるのに負担になりますし、
膨らむのにも時間がかかってしまいます。
敵から食べられてしまう、一刻の猶予もない状態でのんびりしてられませんよね。
そこで、敵から身を守るために、
邪魔な存在であるフグの肋骨は少しずつ退化していったんです。
そして内臓を守るためフグは他の魚に比べて身は硬く、
コラーゲンを多く持っています。
フグの身は真鯛よりなんと9倍も硬いそうですよ。
体全体の弾力性をアップし、肋骨がない代わりに体を守っているんですね。
まとめ
私にとってフグは高級食材のイメージしかありませんでしたが、
調べてみるととってもユニークな魚であることが分かりました。
フグの多くは膨らむ習性を持っていますが、
なんと中には膨らまないフグもいるんですよ。
今ペットとして人気の四角くて小さいハコフグは、
膨らむことができないフグの一種です。
その代わりに、皮膚がとても進化していて硬い板のようになっており、
まるで鎧を着ているような装備をしています。
また、深海に生息するウチワフグはビックリしたときなどに、
腹部の膜をウチワのように広げるといわれています。
そしてマンボウも実はフグの仲間なんです!
マンボウも膨らみませんが、そのかわり皮膚が非常に硬い魚で、
身を守るために巨大に成長するように進化したと考えられています。
体が小さくても動きが俊敏でなくても、自分の身を守るために
フグたちは工夫しながら生きてきたんですね。
今度水族館に行ったときには、
ぜひフグの泳ぎ方やその生態にも注目したいと思います!